空気汚染・ダニ・カビについて

室内空気汚染問題

(室内空気の重要性)
私たちは食べ物や飲み物と空気を体内に取り込みますがそれらのうちで空気の占める割合は驚くほど多く、成人の食べ物の摂取量が約1㎏/日.飲物の摂取量が約2㎏/日という場合、空気の摂取量は1回の呼吸量が約500mlとして1日で11,500ℓ、これを重量に換算すると約15㎏/日になるそうです。
多くの人は一日のうちの大半を建物の中で過ごすといわれているので清浄な室内空気環境の計画は健康で快適な環境を維持するために必要不可欠です。
そのための日常的な対策として生活習慣.日常生活用品の見直しおよびこまめな掃除や換気が必要です。


(室内空気汚染への影響要素)
・建築内装材料.家具.日常生活用品から揮発する化学物質による室内空気汚染。
・居住者の喫煙.過度に薬剤に頼ったカビ.ダニへの対応などの生活習慣による室内空気汚染。
・石油ファンヒーターなどの開放型燃焼器具から発生する燃焼生成物による室内空気汚染。
・建物内部の結露などに起因する環境の悪化による室内空気汚染。
・カビ.ダニ.バクテリアなど微生物に起因するアレルゲン物質による室内空気汚染。
・室内飼いのペットに起因するペットアレルゲンによる室内空気汚染。
・人体から発生する二酸化炭素などに起因する換気不足による室内空気汚染。
 

(室内空気質の調査)
室内空気の化学物質濃度は空気中の化学物質を採取し、化学分析して数値化することでその種類や量を知ることができ、その内容により必要な対策を講じることが出来ます。
室内空気の化学物質の採取方法は吸引ポンプを用いるアクティブ法と吸引ポンプを用いず自然拡散により吸着剤に吸着させるパッシブ法があります。
その採取方法は新築住宅またはリフォーム直後の住宅もしくは居住中の住宅のそれぞれに条件が設定されています。


(空気汚染の除去方法)
室内空気汚染物質の除去方法としては以下のように大別されます。
・汚染物質の室内への侵入を阻止する手段(汚染発生源の除去.隔離および性質を変えて無害化する方法)
・汚染物質を侵入後に除去する手段(空気清浄器などによる除去および換気により室外に排出する方法)
これらの中では化学物質の種類を問わず排出できる手段として換気による方法が最も有効なようです。


(換気の有効性)
換気を行うことで室内の汚染された空気と室外の新鮮な空気を入れ替えることにより、新鮮な酸素の取り込み.生活における不快な臭気の低減.化学物質の低減.結露の発生予防.ダニやカビの繁殖予防など様々な効果があります。


ダニについて

(ダニの生育環境と健康に対する影響)
ダニは高温多湿の環境を好み、夏場の温度20~30度.相対湿度60~80%の好環境で盛んに繁殖します。
ダニが健康におよぼす影響としては生ダニによる直接的なものとダニの死骸やフンからなるダニアレルゲンによるものの2種類に大別されます。

(ダニとアレルギーおよびダニの発生源)
室内に置ける主要なダニアレルゲンはヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの死骸やフンで、その他のアレルゲンとなるダニはケナガコナダニ、イエニクダニ、ミナミツメダニなどになります。
アレルギーの原因になるヒョウヒダニは人や動物のフケ.カビ.食品クズなどを食料として、布団.じゅうたん.畳.ソファなどを住処として産卵や繁殖をします。
日本は高温多湿の環境になるのでダニは非常に繁殖しやすいようです。


(ダニ対策)
ダニは育成に温度や湿度の環境的条件と栄養源になるエサが必要なので、ダニ対策としては適切な温湿度の管理と栄養源の除去による発生予防および発生したダニを如何にして除去するかが重要になります。
まず温湿度の管理としてはやはり換気の重要性が考えられ、さらに押入.クローゼットなどの収納内部や家具の裏側など空気がこもりやすい場所の改善も重要です。
栄養源の除去としては寝具など洗濯できるものは丸洗いし、その他のものは掃除機がけによる除去が基本になります。
発生したダニの除去方法としては掃除.布団の丸洗い.布団の加熱乾燥または薬剤の使用があげられます。
ただし、薬剤の使用については室内空気汚染につながることになり、またダニの駆除剤は濃度が強いようですので慎重に行うことが大切です。


カビについて

(カビの発育条件と住宅内によくみられるカビの種類)
カビの発育には温度.湿度.栄養源などの各種条件が必要になります。
カビの胞子は気流に乗って飛散するため、発育条件が整っていれば胞子が発芽して増殖します。
カビが好む環境は様々で好湿性カビ.耐乾性カビ.好乾性カビに分類され、そのの発育に必要な最低相対湿度は好乾性(65~80%)耐乾性(80~90%)好湿性(90~100%)になります。

住宅内によくみられるカビの種類(俗称表記)と主な発生箇所は下記の通りです。
・クロカビ (好湿性:住宅内ほぼ全域)
・アカカビ (好湿性:水廻り.空中.食品など)
・コウジカビ(耐乾性:押入.靴箱.畳.じゅうたん.衣類など)
・アオカビ (耐乾性:住宅内ほぼ全域)
・ススカビ (好湿性:水廻り.空中.食品など)
・ケカビ  (好湿性:水廻り.押入.畳.衣類など)
・カワキコウジカビ(好湿性:畳.じゅうたんなど)

カビが健康に及ぼす影響として、真菌症.マイコトキシン中毒.アレルギー疾患があります。


(カビ対策)
カビの対策としてはまず何よりもカビの増殖環境を作らせないことが重要になります。
それには室内温湿度を適正に管理し微生物が育成.増殖するのに必要な栄養源を絶つことが肝心です。

具体例として下記のような対策が考えられます。
・浴室はお湯を張ったままにせず、換気を徹底して結露の発生を予防する。
・窓面などに発生した結露水をできるだけ早く拭き取る。
・十分な換気を行い室内の高温多湿を防止する。
・こまめに清掃をし、カビの栄養源になるハウスダストを除去する。
・掃除機やエアコンおよび空気清浄機などのフィルターを定期的に清掃または交換する。

カビが発生してしまった後の対策としては、薬剤による除去などになりますが室内空気質汚染につながることになるので換気をしながら慎重に行うことが大切です。